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万葉線コラム

鉄ちゃん王国 連載

LRTで街を変える




富山大橋を渡る市内電車

県都の玄関口が大きく変わろうとしている。
北陸新幹線は、現在の富山駅に新幹線が乗り入れる。これに伴い、在来線も含めたホームがすべて高架となる。景観として、機能性として、これほど街を一変させるものはないだろう。富山駅は「新幹線待ち」で、長年にわたって抜本的な整備がされなかったが、ようやく21世紀の鉄道の駅として動き出す。

富山駅北を行くLRTポートラム

駅が高架となれば、その下を平面で通行できるようになる。すでに駅北にはとやま都市MIRAI計画に基づいて近代ビル群が建ち、近未来型のLRT・ポートラムが走っている。それが市の中心である駅南地区と一体化するのだ。

現在、高架化工事の真っ盛り。列車を運行しながら高架にするため、出来たところから順次、ホームを移していくドミノ式を採用している。富山港線がライトレール化されて富山駅に乗り入れしなくなり、ホームのスペースが空いたことも工事に有利に働いている。現在、北口の仮駅舎が完成し、供用が開始されたところだ。

さて、これに伴うまちづくりを考えてみたい。市では住民サービスの維持・向上のためのコンパクトシティーを目指しているが、ここでは連載の趣旨に沿って、観光客誘致という視点でとらえてみたい。

前提として、富山市が戦災都市であるという性格を考慮しなければならない。歴史のある古いものを空襲でことごとく焼失し、「絵葉書にならない街」と言われた。そこで、立山の眺望を売りにして、「特等席」などとアピールしているのである。だが、ポートラムの開通、岩瀬の修景事業などで、まさに絵葉書になりつつあるのは確かだ。

県都のオアシス・松川べり。
桜の季節は特に美しい。

次にやるべきは中心部の絵葉書化だろう。大きな役割を果たすのが、ポートラムの市電乗り入れ構想ではないか。富山駅の高架化に伴い、岩瀬からのポートラムがそのまま駅南に乗り入れることが可能になる。西町を通って南富山まで、または大学前までそのまま行ける。

いや、もっと大きく言えば、南富山では上滝線が乗り入れているから、ポートラムで宇奈月温泉や立山方面へ行くことも可能だし、電圧など技術的な問題を克服すれば北陸線に乗り入れることだって出来るのである。

まずは市内の交通について考えてみたい。かつては6系統あった市電だが、モータリゼーションの波に押され、現在は富山駅―南富山、富山駅―大学前間の2系統だけになっている。しかし、環境問題だけでなく、「路面電車がまちづくりに有効」だということが浸透し、再び市電の環状線化が計画されている。

富山市の構想では2案がある。1つは丸の内で大学前に向かう線路を分岐し、富山城址公園と富山国際会議場の間を通って、さらに市民プラザ前から一番町を通って西町に至る路線か、かつてのように旅篭町を通って一番町に抜け西町につなぐ路線が考えられている。

いずれにしろ、一番町で建設されている新しい富山大和に行くにも便利な路線が出来るのは歓迎したいし、鉄路というのはつながってこそ大きなメリットがあるのは言うまでもない。たとえば、これまで県庁から市電に乗って西町や南富山へ行こうとすると、逆方向の富山駅まで北上してから戻る形になるのが、環状線化されたら戻る必要がなくなる。時間短縮だけでなく、沿線の発展にもつなげられるだろう。

路面電車が環状線化されると、
富山城が車窓から見られる

仮に、城址公園と国際会議場の間を通るルートとなって、そこへポートラムが走れば、富山城を背景にした「絵になる姿」も見ることができるだろう。富山城址公園は都市公園として整備が進められているが、市の中心部のぜいたくな空間をもっと生かすことが必要だ。そばにあるホテル、企業などにも好影響を与えるに違いない。

お堀のある街は、歴史の重みと豪華さを感じさせる。そうした「街中にある水のつながり」で言えば、富岩運河、いたち川、そして松川をもっと生かすことが必要ではないか。松川も桜の季節だけがよいのではない。先人が築いた素晴らしい財産と言っていい。そぞろ歩きが出来る都市が、これからのぜいたくな街であり、それを誘導する整備が求められる。

新幹線工事に伴って
暫定的な駅舎となっている富山駅北口

初めて富山を訪れた人の多くが「駅に降りると漢方薬の匂いでもするのかと思っていた」という人が意外に多い。富山の最大のイメージは今も昔も「薬」である。中国からの薬の原料を運んだ北前船の寄港地・岩瀬と、市電の沿線にある製薬メーカーの広貫堂、薬販売の池田屋安兵衛商店など、既存の観光ルートも一体化できる。

観光客やビジネス客など、市外からの人にとって便利な街は、住民にとっても移動が便利な街であるのは言うまでもない。

ポートラムは平日の日中と週末および祝祭日は100円の暫定運賃になっていたが、開業1年を迎え、この春から正規の運賃である1回乗車200円になった。将来の市電との乗り入れなどを考えてのことというが、やはりワンコインが望ましいのは当然である。

つまり、乗客数を増やすことに知恵を絞るのが先決であるのは言うまでもない。ジリ貧の赤字路線であったJR富山港線の再生として、発想を変えてポートラムが誕生した。さらなる発想の転換、施策誘導でマイカーからの乗り換え客の増加を図る必要があるだろう。市中心部の駐車場の費用補助をするのと同じ発想が求められる。

富山市内で建設が進む北陸新幹線工事

一方、長期的な視点で路線網を考えたときに外せないのが、富山空港との連絡である。新幹線開通後は、現在ドル箱となっている航空機の東京便の需要が減少するため、減便、もしくは廃止となるだろう。それを見越して、富山空港の位置づけは中近距離国際空港としての役割を担うこととされている。

将来予測は難しいが、国際化はさらに進んで航空路線も増えているだろう。そのときに、全国でも例がない市街地と直結した国際空港であるとのメリットを十分に活かさないとならない。そのためのアクセスに鉄道網を組み込むのが最もよい選択であるのは間違いない。費用対効果の面で将来の富山県にとって、どんな評価となるのか分からないが、50年後、100年後を見据えた場合、全くの夢物語ではないだろう。

かつて、先人たちは富山県に縦横に鉄道網を敷いた。地球環境・温暖化の面からも車社会が見直され始めている。鉄軌道網の構築を考えるべきときなのかもしれない。

 

第ー回 : 文化と伝統の城端線
第ニ回 : 古代ロマンと海物語の氷見線
第三回 : 山間の情緒息づく高山線
第四回 : 地鉄と連携、大自然生かして(新黒部)
第五回 : 本物文化をつなぐ万葉線(高岡)
第六回 : 路面電車網で賑わい復活(富山)
第七回 : 並行在来線活性化へ(北陸線沿線自治体)



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