故蝋山 高岡短大学長の講演

藻谷浩介氏の講演

まちづくり フォーラム

交通ネットワーク委員会提言

万葉線コラム

鉄ちゃん王国 連載

LRTで街を変える

高岡南部地域活性化推進協議会フォーラム
「公共交通(高速・地域)まちづくりフォーラム」

日時:1999年 12月 4日(土)13:30〜 場所:高岡テクノドーム 会議室

広域交通の整備が富山県西部地域における都市機能を生かした有機的なまちづくりを構築するにあたっては、大変大きな役割を果たすものと思われます。
また、北陸新幹線高岡新駅も決定しました。それに伴い、21世紀都市ビジョンを考えた時に、現駅や近隣都市とのアクセス道路整備が大変重要な課題となっております。南部地域活性化推進協議会では、当南部地域に係わる、環状線の整備、南北一体の推進、瑞龍寺を生かしたまちづくりなど、これらの交通網や環境基盤整備に取り組んでいます。

基調講演
中川大助教授
(京都大学大学院工学研究科助教授)


○交通とまちづくり
万葉線がクローズアップされているわけですが、今日まで万葉線があることに敬意を表したいと思います。最近はようやく世界中の鉄道に対する考え方も変わってきております。逆風から方向が変わってきたところで、ここまで万葉線が、がんばってきたのにあきらめるのは非常に惜しいと思います。
万葉線は日本で一番乗客が少ない路面電車と言うことですが、これは、ここで行うことが他の手本になることも考えられます。必要以上に悲観することは無いと思います。万葉線の赤字は毎年6千万位と聞きます。万葉線の赤字は高岡・新湊両市民の1人当たり350円なのです。これは、1年に1回両市民が万葉線に乗れば赤字が解消できるのです。万葉線も是非、将来につながる整備と工夫をして頂きたいと思います。
まちづくりに関して話したいと思います。(スライド説明)  
イギリスのチェスターです。ドイツのトリヤーです。
どちらも市街地の中心はにぎわっています。  
同じような風景なのですが、これは全て歩行系の道路であります。他の事例もありますが、歩行系の道路に人が集まっているのです。もちろん車も多く、郊外店舗もにぎわっています。それでも中心市街地に人が集まるのです。にぎやかということは、人が車から降りて歩くということにならなければいけないと思います。
郊外のショッピングセンターの内部には歩ける空間があるから、人が集まる要因でもあります。人がゆっくり安全に歩ける空間が無ければ人は集まらないと考えられます。
イギリスのオックスフードです。人口は15万人です。やはり、中心には人が入れないようになっており、車が入れない空間は非常ににぎやかになっています。これは、車を通させなくしたのですが、ヨーロッパの多くの都市がこのようなことをやっています。
まちに人を集めるのは、車を利用しやすいようにすることではないのです。 車で来る人と公共交通で来た人を比べると、公共交通で来た人の方が長く滞在しており、訪問する個所も多いのです。このことから公共交通で来る人は、商店街にとってもありがたいことが分かります。
駐車場を維持するには、かなりのコストがかかってくるのですが、駐車券を配ることは商品のコストにかかっているのです。もっと公共交通で来た人を優遇し、サービスすることも考えられます。
まちに行きたいというには、まちが少しずつでも変わっていくという仕組みも必要なのです。外国を歩くとストリートパフォーマンスをやっています。そのような仕組みをまちにつくることは、広場があればいいのです。
魅力を高めるには、取り立てて、何が必要な訳で無く、人が集まり、集まると何かが生まれるのです。高岡には瑞龍寺があります。新湊には海王丸があります。これをうまく交通ネットワーク化していけば、観光客が集まると思われます。
新しい新幹線の高岡駅を中心に公共交通のネットワークをつくっていくと面白い方向に向かっていくと思います。
意見発表
松下ナミ子氏(富山近代史研究会員)
私は夫と2人暮らしなのですが、車は持っていません。どこへ行くにも公共交通を利用します。高岡へ週2、3回行くのですが、これには万葉線を利用しています。私が乗るときにはほとんど3、4人の乗客です。
現在、万葉線をやめてバスにしますと、非常に使いづらくなると思います。私は海王丸周辺に住んでいますが、とにかく第三セクターにしろ安全で環境にやさしい福祉的な気持ちでやらないといけないと思います。

石黒 厚子氏
(財:北陸経済研究所 主任研究員)


私は万葉線には、ほとんど乗りません。万葉線を残さなくてもいいという人も多くいますが、このような人にたまに乗っても良いと思わせることが必要だと思います。
・快適性
・スピードを上げる
・運賃を下げる
これらをクリアしてLRTにしてもらえばいいと思います。  
もうひとつ言いたいのは、路線の延伸化です。新高岡駅や、病院、スポーツコアまでです。このことは、現高岡駅の南北一体のまちづくりにつながると思います。また、駅南にコミュニティーバスの発着場があればいいと思います。北側にも含め、ぐるりと回るルートができれば良いと思います。
▼公共交通コラム
パネルディスカッション
1.中川  大  京都大学大学院工学研究科助教授

2.宮川 真清 北日本新聞社論説副委員長

3.澤田 正彦 日本政策投資銀行 地域企画部次長

4.長尾 治明 富山国際大学人文学部助教授

5.武山 良三 高岡短期大学産業工芸学科助教授

6.島  正範 路面電車と都市の未来を考える会・高岡会長


コーディネータ

7.松原 吉隆 高岡南部地域活性化推進協議会副会長
          富山経済同友会交通ネットワーク委員会委員長

松原氏 : 南部地域には人口約4万人がいます。新高岡駅も決定し、北陸最大のジャスコも来ます。 今日は、公共交通を考えて頂きたいと思います。万葉線は緊急事態なのです。今回のパネルディスカッションでは、2つの意味があります。
ひとつは存続を前提とします。もうひとつは、存続するには利用客の増加に関して、具体的にどうすれば良いのかという、この2つをこのディスカッションの主旨としています。
その中で3つの視点と3つの論点で整理していこうと思っています。

3つの視点

○需要と採算性の視点 ○交通論的な視点
○地域開発・まちづくりからの視点

3つの論点

○ 基本構想は ○基本計画は(誰が主体で、どんな体制で)
○アクションプログラムは
このような視点と論点を整理しながら進めていきたいと思います。

武山氏 : なぜ路面電車なのか。  
環境にやさしいといいますが、本当でしょうか。  自家用車を減らせば二酸化炭素が減ります。
・路面電車を無くしたら、もっと走りやすくなるのでは。
逆に、渋滞は増加します。
・万葉線になぜ、載らない人までお金を払わなければいけないのか。 電車は外国では公共施設なのです。  
経済の活性化よりも環境等、日々の暮らしの活性化、今あるものの活用が必要なのです。       
宮川氏 : 先程からの意見を聞いていると、何とか存続できるような気もしてきました。「黒い家」という映画が富山県で撮られ、万葉線をどうしても入れたいということで撮影されたのです。 その映画を見に行ったのですが、うらぶれた汚い工場地帯を空っぽの万葉線がゆれながら走っていく姿を見て、これがスタッフの満足したシーンだったのだと思いました。その帰りは、万葉線と平行して走ったのですが、電車には乗客が2人で、本当に大丈夫なのかと思いました。
長尾氏 :  万葉線を今のスタイルで残すのは難しいと思います。需要が無いと思います。公共交通機関というのは、中心部の活性化において、公共交通をどう組み入れていくかを考えないといけません。 高齢化社会を迎え、高齢者の交通事故も増えてきています。そういう人達を安全に一度に大勢運ぶことが必要になると思います。
武山氏 : アムステルダムでは、乗り継ぎが非常に便利になっています。パークアンドライドなど、その場に合った交通を考えていけばいいと思います。低床バスやトラムが多くなっており、車椅子や自転車持込の利用が多くなっています。 地下鉄やバスなど共通券になっているところもあり、非常に便利です。家族券というのもあります。
澤田氏 : 岡山で2年間、毎日路面電車を利用していました。岡山では、路線を延伸して、中心市街地の利便性を高めようということで、その話に関わっていました。 日本と欧米とでは、哲学が違うような気がします。ヨーロッパでは中心市街地に対する愛着が深いのです。自動車ではなく、人を回遊させています。アメリカでは郊外でのショッピングセンターができています。アメリカは圧倒的な車社会です。1980年代後半にポートランドで路面電車が引かれましたが、運賃は運営費の3割しかありません。 岡山の最近の動きとして、今問題になっているのが環状化することなのですが、採算性からは、環状化しない方が良いのです。まちづくりからは環状化が良いのですが、誰が整備するのかということも問題化しています。道路の中央ではなく、歩道の脇に付けるようにと岡山ラクダが取り組んでいます。
島氏  :  私たちは路面電車と都市の未来を考える会高岡という、通称ラクダ高岡という市民団体で昨年の4月に設立しました。私はそこの会長をやっております。 ラクダでは車社会の発展により経済は発展しましたが、まちの本来の機能が失われているのではと思い、人と環境にやさしいまちづくりを行っていきたいと考えています。
澤田氏 : 万葉線をどうすればいいかという話しで、総合的なまちづくりを捉えた大きな視点が必要だと思います。高岡には良いところが沢山あるので、公共交通で行ける所を作ることが必要なのではと思います。公共側は複数案を提案していけば良いのではないでしょうか。
武山氏 : 万葉線、氷見線も城端線も含め南北のことを考えることが必要なのではないでしょうか。周辺の人口は50万人にもなります。小さい町の魅力をつないでいくことにより、ひとつのストーリーとするという考え方です。例えば匠の景や食の景など万葉線を絡めて南北の軸の形成というのが我々の提案です。万葉線を新高岡駅まで城端線を使って乗り入れし、中心部では停車数を増やします。拠点拠点にパークアンドライド出来るようにします。万葉線とバスやコミュニティバスを絡めたりすることも考えられます。
長尾氏 : 再生計画をきちっと進めていくことが必要です。万葉線のみで考えていくのは難しく、利用者サイドから考えなければいけないと思います。そのためには住民を参加させていくことが重要です。 
澤田氏 : 第3セクターにも投資していきます。こういう公共交通を考えた場合どういう風に事業を考えていくか、車両や基盤整備は公共が、運営を加越能がとか、全て公共とか、その場合でも、赤字が出たらどうするかを考えていくことが必要です。
宮川氏 : 利用者がある限り、この万葉線は残すべきだと考えます。新幹線の駅まで延伸する場合でも採算があるのかや熱意も必要です。
中川氏 : がんばれば出来るような気がします。富山だけが車社会ではないのです。観光資源や祭り、食べるものもあります。一番心配なのは住民があきらめることなのです。盛り上がるよう、期待して応援もしていきたいと思っています。
松原氏 : どうもありがとうございました。万葉線は先人の貴重な贈り物でこれを引き継いでいくことが大切です。地域交通・まちづくり・観光資源として利用することが必要です。新幹線を含めた万葉線を生かしたまちづくりの創造を願いまして、終わりにしたいと思います。

〜以上〜



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