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交通ネットワーク委員会提言 ▼県内交通ネットワークの状況
  ▼北陸新幹線の整備に向けて
  ▼北陸新幹線と地域ネットワークについて
  ▼提言
「21世紀、北陸新幹線と地域交通ネットワークの展望」
  ▼おわりに
 



1.はじめに
 交通は単に移動のための手段というだけでなく、新しい価値創造を図る 社会的インフラ(基盤)として、地域が着実に発展していくために、欠く ことができないものである。交通ネットワークを整備することは、地域社会にとって極めて重要なことである。これからは、地域住民である我々が自分達の地域社会の交通ネットワークについて、将来構想を描き、構築していく時代となっている。 富山経済同友会では、これまで地域社会の交通問題をテーマに調査、研究に取り組み、提言してきた。さらに、平成11年4月に当交通ネットワーク委員会を設置して、長期的・広域的視野に立って富山の交通ネットワークの諸問題について、検討を重ねてきた。その中間報告として昨年5月に、 「北陸新幹線 −正しい認識と世論の理解で早期実現を求める−」を発表し、北陸新幹線の早期実現を求めた。その後も識者を招いての講演会や海外視察などを行い、新幹線や街づくりと連携した交通ネットワーク整備についても検討を重ねてきた。 21世紀を迎えて、県内の交通事情は今後大きく変化しようとしている。昨年12月には、北陸新幹線の上越−富山間を全線フル規格で、12年強後に完成させることが決定された。北陸新幹線を、我々の生活を向上させ、 地域発展を支えるものとして活用するために、県内の新幹線3駅(富山、 新高岡、新黒部)を中心とした交通ネットワーク整備と駅周辺整備の着実な実行が必要不可欠である。また、並行在来線についても、生活者の足として維持、確保していくことが重要な課題である。 1950年代後半から始まる我が国の高度経済成長を背景に、県内でも、モータリゼーションが進展した。しかし、こうしたモータリゼーションの 進展に伴い、県内の公共交通の利用者は減少し、中心市街地の空洞化も 進んだ。このような状況の中で、近年、公共交通を再び活性化させて、街の活力を維持していこうという動きも見られるようになってきた。昨年、存続問題に揺れた万葉線は、第3セクター方式で運営していくことが決定された。また、富山、高岡市内の中心市街地で、昨年試行運転されたコミュニティーバスが今年本格的に導入されるなど、地域の公共交通を活かして、中心市街地を活性化しようという試みが動き出している。 県民一人ひとりがこうした新しい地域社会の変化に強く関心を持つとと もに、北陸新幹線の整備を契機として、富山が環日本海対岸諸国と首都圏、 関西圏とを結ぶ要として、「新日本海時代」の魅力ある拠点になるように、我々は交通ネットワークを形成、充実していかなければならない。




2.新時代に向けた県内交通ネットワークの状況 ▲ページのトップへ

(1)進められる北陸新幹線の整備
北陸新幹線について、平成13年度に上越−糸魚川、新黒部−富山間を フル規格で新規着工し、スーパー特急方式で現在建設中の糸魚川−新黒部 間をフル規格に変更することが、政府・与党整備新幹線検討委員会で決定 された。長野から富山までを全線フル規格で12年強後に完成させ、富山 −金沢間は2年後にフル規格整備に向けて検討するということである。 これは北陸新幹線の実現に向けて大きく前進したものである。しかし、 富山以西の整備方針が今後の課題となっており、建設費の財源についても、 国の厳しい財政事情や地元負担が問題となっている。さらに、北陸新幹線 の開業に伴い、JRから経営が分離される並行在来線の維持、運営など 課題も多く残されている。 これからの時代はIT(情報技術)の進展により、情報を瞬時に共有 することができるようになる。これらの情報を真に利用価値のある情報に するためには、人と人の交流を活発に行うことや、情報を地域社会に密着 した形で捉え直すことが一層不可欠になってくる。安全で高速大量輸送力 と面的な拡がりを持つ新幹線の効果は大きく、新幹線を将来の地域交通や 街づくりのビジョンと密接に連動させ、地域の発展に活用していくことが 重要である。


(2)県内交通の現状
県内交通の現状について、富山県は平成11年に第3回パーソントリ ップ調査を実施している。この調査結果をもとに、県内の将来交通量の 予測を行い、土地利用などの計画を踏まえ、公共交通機関の分担を考慮 した総合的な都市交通計画が策定される

 

【県内交通の現状】−第3回パーソントリップ調査結果から −
@ 交通機関分担率の推移では、移動媒体として自動車を利用する割合が 前回調査(平成9年)比19.8%の増加、さらに高くなっている。

(交通機関における自動車分担率の推移)               [単位:%]
平成 9年 52.4 平成11年 72.2


A 年齢階層別グロス生成原単位(総トリップを総人口で割った値)では、 高年齢層のトリップ増加が顕著になっている。

(年齢階層別グロス生成原単位の推移)             [単位:トリップ/人]
年齢層 平成9年 平成11年 増 減
65〜69歳 1.75 2.45 +0.7
全年齢平均 2.68 2.80 +0.12


@ 高まる自動車の利用 近年、富山県内においても道路の社会資本整備が進められてきた。県内 の一般道路整備率は67.8%(平成9年度、全国平均50.2%)で 全国第1位、一般道路舗装率は87.2%(平成9年度、全国平均 75.4%)で全国第10位である。また、県内の1世帯当たり自家用 乗用車台数は1.61台(平成10年度、全国平均1.06台)となっ ており、これも全国第1位である。 こうした状況により、県内旅客流動における輸送機関のうち、JR 民間鉄道、路線バスなど公共交通機関は著しくシェアが低下している。 公共交通の利用者減少により、さらにサービス低下することが懸念さ れる。

【富山県内の輸送機関別旅客流動の推移】           (単位:千人、%)
交通機関の区分 60年度 4年度 9年度 増減率
JR 27,614 28,851 26,154 △5.3
民間鉄道 24,953 21,967 18,753 △24.8
路線バス 40,128 28,031 18,114 △54.9
公共交通機関合計 92,695 78,849 63,021 △32.0
自家用自動車 257,441 575,181 608,564 136.4

資料:「数字でみる中部の運輸」 ※増減率(60年度;9年度)

A 高齢者の交通利用増加 平成11年の県内65歳以上老齢人口は20.2%となっており、県内 の高齢化は全国よりも早いスピードで進行している(全国平均16.7%、 富山県は平成5年に16.8%に到達済)。そして、高齢化社会の進展に 伴い、移動する人の年齢層も高齢化している。 交通のバリアフリー化を行うことなどによって、公共交通は福祉など 多面的機能を担っていく必要がある。これからの高齢化社会においては、 より一層高齢者などにも優しく誰でも利用しやすい公共交通を活かした 地域交通システムを整備していくことが求められる。


3.北陸新幹線の整備に向けた中間報告 ▲ページのトップへ

当会では、昨年5月に北陸新幹線について中間報告を発表した(中間報告の詳細は別添付録を参照のとおり)。その内容は、北陸新幹線に対する正しい認識と世論の理解のもとに早期実現を求めるものである。その主なポイ ントは次のとおりである。

(1) 北陸新幹線の整備は国家プロジェクト 北陸新幹線は、単に沿線地元の要望だけで整備するのでなく、日本海 国土軸を形成し、均衡ある発展に貢献する国家プロジェクトとして位置 付けられるもので、早期実現が求められる。

(2) 優れている北陸新幹線の需要や採算性 交通整備の目的は単に採算をとることでないが、北陸新幹線の需要や 採算性は世間一般に考えられているほど悪くない。公共事業を公平な視 点から厳格に評価すれば、新幹線の費用対効果は優れたものであること が分かる。また、新幹線の開業によって、地域の活力創出などのプラス の効果も大きい。

(3) 財源問題については、公共事業費の配分を見直すことが必要 整備新幹線の当初予算は、公共事業費のうちわずか0.34%(平成11 年度公共事業関係費の政府案)である。整備新幹線の財源配分が、全然 変ってこなかったことが問題である。公共事業費における整備新幹線の 配分を見直し、重点的に行うべきである。

(参考) 平成11年度以降の公共事業費における整備新幹線の予算配分
  ・平成12年度   0.38%   ・平成13年度    0.8%

(4) 日常の地域交通と新幹線の両方を活かした地域交通体系にしていく ことが重要 現在、地域交通(ローカル列車)から都市間の幹線交通を担う長距離 高速列車まですべてを在来線でまかなっていることが問題である。地域 交通と都市間の幹線交通は相互に補完的に機能するものであり、ともに 交通システムを構成する重要な要素となっている。両方を適切に整備、 維持することによって、全体として質の高い交通ネットワークを形成し なければならない。

(5) 環境やエネルギー問題の観点から、新幹線は有効 21世紀において、環境やエネルギー問題がさらに重要視されるよう になる中で、新幹線は環境に優しく、エネルギー消費量も少ない優れた 高速交通手段であることを重視すべきである。


4.北陸新幹線と地域交通ネットワーク ▲ページのトップへ

北陸新幹線の県内3駅を核とした地域整備、交通ネットワーク整備を検討するに当って、参考となる先行事例が内外に数多く存在する。以下いくつかの先行事例を紹介したい。

(1)国内の既設新幹線と地域交通ネットワークの状況
@ 周辺整備が遅れた北陸(長野)新幹線 安中榛名駅 安中榛名駅は北陸(長野)新幹線の開業に合せて、新しく開設された 駅であるが、周辺整備は現在実施中で未完成である。また、安中市街 地と新幹線駅を結ぶバスなど交通ネットワークの整備も遅れた。その ため、豊かな自然や伊香保温泉など観光資源にも恵まれているにも かかわらず、その特長は十分に活用されていない。駅利用客は極めて 少なく、停車する新幹線は1日片道9本しかない。駅の機能、効果を 発揮するには、事前の駅周辺整備や交通ネットワーク整備が必要で あることを示す事例である。

A 新幹線と直結する交通ネットワークが望まれる東北新幹線 くりこま 高原駅 東北新幹線の「くりこま高原駅」は「くりはら田園鉄道」と交差して いる地点からやや離れて設置されていることなどから、アクセスのた めの交通ネットワークが十分構築されていない。主に自動車による アクセスに頼っているが、新幹線と直結する交通ネットワークがあれ ば、大きな効果が発揮されると思われる。

B 周辺の開発、区画整理事業の展開で盛り返した東海道新幹線 岐阜 羽島駅 東海道新幹線が開業した当初、岐阜羽島駅は「田んぼの中の政治駅」 とさえ言われたが、昭和57年12月に名古屋鉄道羽島線の建設によ り、新羽島駅を開業し、羽島市および岐阜市中心部へ向う交通ネット ワークが整備された。また、継続的に区画整理事業が行われ、駅周辺 の賑わいが創出されてきている。

C 商業集積も進んだ北陸(長野)新幹線 佐久平駅 北陸(長野)新幹線が開業する前は田園地帯であった場所に新設され た佐久平駅は、上信越自動車道佐久ICにも近く、小海線と結節して 利便性を高めている。また、駅舎内の物産館と一体に駅前広場を整備 し、周辺も含めて新たな商業集積が活発に行われている。さらに、「新 幹線通勤ができる街」として宅地分譲が進められるなど次第に街は発 展し、駅の乗降客も予想を大幅に上回る結果となっている。

D 事前開発計画の有無で明暗が別れた東海道新幹線 新横浜駅 東海道新幹線新横浜駅の北側と南側では、開発の状況に大きな格差 が見られる。駅開業前に区画整理事業が行われた北側は、横浜の新し い表玄関、新都心として機能するようになっているが、南側は、計画的 な区画整理事業などの対応が遅れたため、駅開業から30年以上が経過 した現在においても未利用地や荒れ地が目立っている。

(2) ヨーロッパにおける新幹線の新駅開発と公共交通の状況
当会では、ヨーロッパにおける新幹線開通による地域社会に対する効果 や問題点、また、古い歴史ある小都市の街づくりや都市開発の事情につい て、今年度の海外経済視察を行い、意見交換を実施した。

@ 新幹線新駅と周辺整備に取り組むアビニョン 南フランスのアビニョンは人口18万人、ローマ帝国の一都市として 発展し、古い城壁に囲まれた街である。14世紀には、ほぼ1世紀近く に渡って法王庁が置かれた歴史的な街である。 この歴史ある街では、2001年6月開業予定に向けて、現在の駅 から約2km離れたところに、TGV(高速列車新幹線)の新線による 新駅が建設中である。新駅を中心とした300haの区域で、都市業務 機能、サービス機能、研究所、住居など延22万uの建物を建設する 意欲的な都市開発プロジェクトが計画されている。 新線により、パリ−アビニョン間は今までより約50分短縮され、 2時間40分となる。現駅と新駅は約6分間隔のシャトルバスで結ぶ 計画である。また、路面電車を走らせる計画もあるということである。 2010年には、人口が15%増加、観光客は現在の100万人から 150〜200万人を見込んでいる。世界的な演劇祭もあり、9千人の 学生をかかえる大学がある。これらを活かして交通ネットワークが整備 されている。 街の城壁内は、自動車で来ない人のための個性あるお店、城壁外では、 駐車場のあるショッピングセンターと棲み分けをしている。新旧の街を いかに共生、発展させるかというビジョンを持って、都市整備が進めら れている。

A 公共交通の地域化、先進例カールスルーエ ドイツ西南部のカールスルーエは人口30万人、路面電車 LRT (Light Rail Transit)が都市交通の主役として活躍、市内中心部への アクセスが容易になっている。路面電車は、市内中心部では距離の短い 駅間の路線を低速で運行しているが、郊外では路面電車がドイツ鉄道の 軌道に直接乗り入れて、高速で運行している。利用者にとって乗り換え がなく、非常に利用しやすくなっている。 また、市内中心部では、トランジットモールと組み合わせ、街の賑わ いが創出されている。公共交通と道路、商店街や広場などが一体となっ て効果的に生活空間を創り出している。


5.提言「21世紀、北陸新幹線と地域交通ネットワークの展望」 ▲ページのトップへ

(1) 北陸新幹線のさらなる整備促進 北陸新幹線について、長野から富山まで全線フル規格で12年強後に 完成させることが決定されたことは、北陸新幹線の整備に向けて、我々の 中間報告の主旨にある程度沿ったものであり、評価できる。しかし、北陸 新幹線はさらに関西圏と結ばれることによって、一層の効果を発揮する ものであり、富山以西の整備促進と一刻も早い完成が望まれる。

@ 北陸新幹線を一刻も早く関西圏と結ぶ必要がある 北陸は空路、海路で北東アジア地域と結ばれている。北陸新幹線を 関西圏まで延伸することによって、首都圏と関西圏は北陸を介して相互 に結ばれるとともに広く北東アジア地域とも結ばれることになる。北陸 新幹線は、環日本海地域と環太平洋地域とを結ぶインフラとして、国土 利用上極めて重要な意味を持つものである。 北陸と関西は歴史的にも密接な関係を維持してきた地域であり、関西 圏にとっても北陸新幹線の重要度は大きい。実際に、両地域を結んでい る現在の特急「雷鳥」「サンダーバード」は平日、休日を問わず満席の 列車が多く運行されているなど、両地域の交流は極めて盛んである。 北陸新幹線の富山以西の整備促進は北陸地域の一体化のために必要で あるとともに、関西圏との一層の交流拡大のためにも必要である。北陸 新幹線は一刻も早く関西圏と結ばなければならない。

A 新幹線は21世紀にふさわしい環境重視、高齢化社会の必須インフラ 新幹線は航空機、自動車に比べてエネルギー効率に優れた輸送手段で あり、高齢者にも快適に移動する機会を提供するものである。新幹線は  環境重視、高齢化がさらに進む21世紀社会にふさわしい、必須のイン フラである。 また、県内の高齢化は全国よりも早く進行し、移動する人の年齢層が 次第に高齢化している。高齢者がいきいきと活躍するためにも、新幹線 を再認識して、その整備を促進すべきである。

B 建設財源問題について、公共事業費の配分を見直す 建設財源の問題について、これまでの20世紀型の公共事業方式から、 公共事業の採算性などを再評価することも含めて、見直しを行い、硬直 化している公共事業費の配分を見直していくことが求められる。 我々の生活における交通の役割を考えると、新幹線は費用対効果にお いて優れたプロジェクトであり、その建設財源を確保していくことが 必要である。また、建設費の地元負担問題については、地域社会の公共 財として必要なものは公共事業の優先度を付けて、地元の我々は、相応 の負担をしなけれればならない。

(2)北陸新幹線と県内交通ネットワークの整備
@ 北陸新幹線の県内3駅と周辺整備を図る 県内の交通ネットワークは、今後整備される北陸新幹線の3駅(富山、 新高岡、新黒部)を核に展開されるが、地域の玄関口にふさわしい各 地域らしさを表現した駅舎、駅周辺整備、既存市街地と連携した社会 基盤を計画的に整備する必要がある。 既設新幹線の開発事例を見ると、地域全体が一体となり、事前に新幹 線の駅周辺整備をした都市とそうでない都市では、はっきりと格差が出 ており、新幹線の効果も大きく違っている。ヨーロッパの事例も参考に して、県内3駅と周辺整備は新幹線計画に先駆けて、できるだけ早期に 着手し、かつ、計画的に整備していかなければならない。 富山県は、新幹線の開業によって、関東圏、関西圏、名古屋圏のいず れにも便利になり、国内で最も恵まれた高速交通を有することになる。 一方で、立山連峰、富山湾をはじめとする豊かな自然を併せ持つ世界的 にも魅力ある県に発展する可能性は充分ある。また、県内のあらゆると ころから3駅のいずれかに対して、自動車では概ね30分、公共交通機 関でも概ね60分以内で到達することが期待できる。新幹線駅へのアク セスの便利さが日本のモデル県となることを、キャッチフレーズにして 交通ネットワーク整備に取り組んでいくことが重要である。

A.富山駅:
既存市街地と一体になった整備 ・ 富山駅はJR在来線(北陸本線、高山線、富山港線)、富山地鉄、路面 電車、路線バスなど既存の交通ネットワークを活かし、乗り換えを容易 にするなどさらに利便性を高める。 ・ 現在、検討中の富山駅の立体交差事業を早急に進めて、在来線の高架化 により、富山市街地の南北一体化となる街づくりを実現する。 ・ 駅前には都市業務機能、商業施設の集積、イベント広場や公園などを 整備する。富山駅は、富山来訪者が最初に富山と出会う場所であり、 県都である富山市は、みどり豊かな環境や文化発信力がより求められる。 そのため駅前広場を駐車場だけで埋め尽くさないように適切な土地利用 計画を立案する。
B.新高岡駅:
現駅との機能分担を図る開発 ・ 新高岡駅は城端線と結節させ、城端線を現駅と新駅を結ぶアクセスに 活用する。 ・新駅と現駅を連携し、適切に現駅と機能分担を図るとともに、新駅舎と 一体になった駅周辺整備を現時点から取り組む。また、県西部の交通 拠点として路線バスのアクセスも整備する。 ・ 万葉線をJR氷見線や城端線との直通化も念頭に置き、新幹線と氷見市 や新湊市、砺波地域とを結ぶ観光資源としても活用していく。
C.新黒部駅:
新駅と周辺を新しく開発 ・ 新黒部駅は、現在の黒部市中心部から約3km東に立地する新しい街で あり、県東部新川地区の拠点として新しく開発する。 ・ 富山地鉄本線との結節を図り、徒歩移動により乗り換え可能となるよう な利便性を確保する。 ・ 北陸自動車道の黒部ICに約5分と接近しているという大きな特長を 活かし、広域的な交流機能や生産機能なども視野に入れた周辺整備を 行う。 ・ 豊かな自然、黒部・宇奈月という観光資源を活かす。それぞれ異なる 観光資源の魅力を連携することにより、点としての観光地から、人々が 広域的に行き交う面的観光をなし得る交通ネットワーク整備を図る。

A 並行在来線を維持、確保する 地域交通と都市間の高速幹線交通は相互に補完的に機能するもので、 ともに交通システムを構成する重要な要素である。全体としてより良い 交通ネットワークを形成しなければならない。今後、JRから経営分離 される並行在来線を維持、確保し、活用していくことが重要である。 しかし、旧国鉄やJRから経営分離が先行した他の地域では、従来の 第3セクターによる経営がうまく機能していないケースもあるため、 安定的に事業運営できるような組織、運営体制づくりに官民連携して 取り組む必要がある。

(3)地域の公共交通を活かした街づくり

@ 都市のシンボルとしての公共交通の運営 地域の公共交通には、その街らしさや個性を反映する雰囲気がある。 公共交通を活かして、都市の個性をアピールし、都市のプレゼンスを 高めるような街づくり、歴史、文化、自然にあふれる富山らしさを演出 した街づくりを行う必要がある。 公共交通は地域のシンボルであり、地域住民誰もが利用できる文字 通り公共財である。従って、公共交通の維持のためには、ある程度負担 が必要である。現に欧米各国においては公共交通の維持のために財政 支援が実施されている。民間企業による公共交通の経営には、合理化の 徹底と利用者増加策は当然であり、ガバナンスのメカニズムをうまく 機能させる仕組みにすることが重要である。同時に、公共性のチェック のもと、民間企業に対しても適切な財政支援を行うことにより、地域の 公共交通を維持していくことが重要である。

A 公共交通への利用転換促進策の推進 公共交通機関への利用転換を促進するため、以下の取り組みを行う。 そのためには、官民の協力と相応の財政支援も実施する必要がある。 ・利便性向上を図るため、公共交通機関のルートの見直し、運行時間の 延長、運転間隔の短縮などに取り組む。 ・トランジットモール(公共交通を活かした歩道、商店街、広場など 一体となって、効果的な生活空間を創り出す)の整備に取り組む。 ・県内にあるさまざまな公共施設は、利用者が公共交通機関を利用する ことを前提にして配置し直していく。 ・中心市街地商店街の買物利用客には、コミュニティーバスの割引券を 発行するなど、公共交通利用を誘導する仕組みを整える。 ・行政も連携して公共交通への利用を促進する。公共交通が備えている 教育的機能、例えば緑化・省エネ運動などの環境問題や公共性を育む シンボルとしての路面電車の役割等について、公共交通を実際に利用 する体験学習授業によって、公共交通機関を利用する意識を子供の頃 から教える。 ・富山経済同友会の会員企業は、自動車優先から公共交通機関の利用 転換を促進することに理解を示し、率先して実行する。例えば「元気 に富山推進懇話会」で提言された公共交通の活用につながる「乗らん My Car運動」などに協力をする。

B 路面電車の交通ネットワーク ・官民連携のもと、富山市内路面電車の延伸・拡充に取り組む。具体的 には、西は現在終点の富山大学前から呉羽まで延伸し、東は丸の内− 荒町−新庄まで線路を新設、南は現在終点の南富山から富山空港まで 延伸する。さらに、北は富山駅北に延伸してJR在来線と乗り入れる。 これらの延伸により、新幹線や航空路と有機的に連携した交通ネット ワークとしての利用価値を大幅に高めることができる。 ・万葉線を年間約70万人の利用者がある海王丸パークへ延伸させる ことにより、観光路線としての活用も図る。 ・路線バスを降りると、すぐ横の路面電車に乗り換えることができる とか、路面電車と路線バスとの共通乗車券を発行するなど、公共交通 の利便性を高める工夫を官民一体となって取り組む。

C パークアンドライドの実施 ・路面電車を延伸するとともに、富山市内では、呉羽、新庄、富山北口、 南富山にパークアンドライド用の駐車場スペースを確保し、路面電車 や路線バスに乗り換えを図る。また、高岡市内でも同様に市内中心部 の入り口にパークアンドライド用の駐車場を整備する。 ・パークアンドライドは駐車料金を無料にするなど、費用や所要時間 などを改善し、自動車で直行するより公共交通機関に乗り継ぐ方が 優位となるような工夫を行う。


6.おわりに ▲ページのトップへ

21世紀を迎え、地域社会においても、IT(情報技術)の進展、少子・高齢化社会の到来、環境・エネルギー問題の深刻化など大きな変革に直面している。こうした社会情勢の中で、北陸新幹線が開業している2015年頃には、「高い交通利便性」、「緑豊かな優れた住環境」、「全国レベルでの地域イメージ(情報)の発信力」の3つを備えた地域が、定住・交流人口が増加し、発展していくものと思われる。 交通ネットワークは、高速で長距離の都市間交通から在来線、路線バス、路面電車など毎日の身近な生活交通まで、有機的に連携されて機能するものである。この意味で、北陸新幹線の着実な整備と一刻も早い関西圏までの 延伸が求められるところであり、同時に、その整備に合わせて地域交通の 整備や街づくりに計画的に取り組む必要がある。我々はこれからの交通ネットワークの具体的なイメージを持って整備することにより、はじめて新幹線によるメリットを十分活かすことができる。 人、物、資源の移動交流を活発にすることによって、異質な文化の交流が促進され、新しい文化や産業が生まれる。また、我々が気付かない地域の 良さを他から来る人が教えてくれ、自分達の街の文化、街の良さを再認識 することが自らの地域に誇りを持つことにつながる。自然に恵まれた豊かな住環境を備えた富山は、公共交通を活かした街づくりと北陸新幹線を活かした交通ネットワーク整備により良好な交通利便性を確保すれば、歴史、文化、自然に恵まれた地域イメージを広く発信することができよう。 県民一人ひとりが新しい時代変化を強く意識するとともに、我々は、富山が新日本海時代の魅力ある拠点となることを目指して、21世紀にふさわしい交通ネットワークを形成、充実していかなければならない。



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