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【九谷の町のにぎわいを】石川県寺井町の市街地再生実験

各地で中心市街地の衰退が見られますが、国土交通省政策の面からこの状況を打開する手立てはないものでしょうか。今回は、道路空間の新たな活用や新たな交通手段の提供により中心部におけるにぎわい再生を模索したてらい待ちの実験を紹介します。

【実験の背景と狙い】

石川県寺井町は、人口一万六千人ほどの伝統工芸「九谷焼」の産地として全国に知られ、国指定史跡「和田山・末寺山古墳群」で名高い、歴史と文化の町です。平成十三年度に、国土交通省の社会実験の認定を受けて実験が実施されました。社会実験は、新しい施策の導入に先立ち、現実の社会において場所と期間を限定して施策を試行(実験)するとともに、試行結果の評価を行い、施策の本格的導入するか否かの判断材料を得ることです。昭和五十七年に一般国道8号のバイパスが完成し、町の中心市街地を通過する道路「サンロード寺井」は、煙道の店舗数や交通量の減少などにより、にぎわいが失われてきています。このサンロード寺井に再びにぎわいを取り戻し、未来の寺井町に、新たな活力の創出する方策を検証するため、道路空間を活用した社会実験を実施しました。新たな方策は、「サンロード寺井振興会」のNPO法人取得やIT活用による国道バイパスのアクセス性の改善に向けてなどを合わせて、サンロード寺井(旧国道)の使い方を住民参加で検証しました。また、不足している町内の公共交通機関の需要を呼び起こすために、コミュニティーバスの試験運行を継続的に行い、町内を巡回できる快適な公共交通手段の在り方の検証しました。実験は、平成十三年に三回、五月は「町外の方をもてなす」、八月は「自分たちが楽しむ」、十一月は、「子供たちに喜んでもらう」というコンセプトもとで取り組まれました。

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【バスやカート活用し 道路で祭りを開催】

五月の実験は、寺井町の主要イベントである「九谷茶碗まつり」を、従来の広場での開催から、サンロード寺井での開催とし、「縁石」を取り外し道路空間の活用方策などを検証しました。また、交通手段は、郊外からの移動手段であるシャトルバス、会場内の移動手段であるコミュニティーバスとレンタカートの複合連携を実施しました。「サンロード寺井」では、道路空間を有効に活用する為、実験的に縁石を脱着式に改良しました。実験では、この立っちゃ区式縁石を取り外すことで道路の利用形態を変更し、従来ならば設置が難しかった空間に、容易にテントを設置する事が可能となり、歩行者のスペースをより広く確保することができました。
 実験当日、会場にて、来場者にアンケート調査を行いました。このアンケートの結果によると、開催形式は半数以上の約六割が、「沿道開催」を望んでいます。そして、沿道開催形式は、来場者の会場内の滞留時間が増加し、期間中の沿道ににぎわいが益し活気ある空間となりました。会場内の移動手段として、電動カートの貸出による「レンタカート」を用いました。利用はそれほど多くなかったものの、利用者のアンケートでは好評との結果が得られ、今後の需要に期待できます。八月の実験では、住民の手によるにぎわいづくりで、「寺井夏まつり」を開催し、今後の中心商店街における道路空間の使い方などを検証しました。庁内のコミュニティーバスの臨時運行と会場内の移動手段としてレンタカートの利便性を向上させることで、中心市街地の活性化に取り組みました。

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【「バス&ウォークラリー」で沿道イベントを支援】

十一月実験は、週末などに定期的に開催するイベントを想定した道路空間活用の検証です。週末などのイベントは開催のたびに、道路を通行止めにすることは現実的ではありません。そこで、歩行者天国化した五月実験とは異なり、道路の幅員構成を変更することによる沿道立ち寄り型として「サンロード道の市」を開催し、その効果を検証しました。通常の自動車走行を維持し、立ち寄り型のイベントを開催するためには、脱着式縁石を撤去し歩道部を路肩として使い、三角コーンによる臨時車線分離を実施しました。また、庁内のイベント会場と拠点を結ぶ「町内バス&ウォークラリー」を実施し、コミュニティーバスのイベント時における新たな活用法を検証、IT実験として、インターネットを活用した携帯電話などへの情報提供を行いました。コミュニティーバスは、九谷陶芸村・手取フィッシュランド、「サンロード道の市」の中心となる情報ステーション、またサンロード沿道の福祉会館を結び、来場者の町内の回遊に役立てました。「バス&ウォークラリー」の今後の実施については、八割以上の人が「是非、実施すべき」「実施すべき」を回答しており、好評でした。また、「バス&ウォークラリー」に参加した人の内訳では、普段バスを利用しない人の参加が多く、新たなバスの需要に期待ができます。

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【見えてきた道路空間や交通手段の新たな活用】

五月・八月・十一月の実験結果のまとめとして、それぞれの利用シーンに応じて新たな道路空間の使い方が見出されました。また、交通実験としては、普段利用が少ない交通手段もイベントと合わせることで、新たな需要に期待できます。コミュニティーバスの試験運行は、町内を二ルートで運行し、運行ダイヤは、それぞれ合わせて一日十便を運行しました。運行期間は平成十三年の五月から十二月まで、継続して行いました。利用状況は、運行当初から利用者の増加が見られました。また、その必要性については、町民の六割が「必要」とアンケートで回答しており、本格導入に向けた検討も今後必要です。

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【自動料金収受システム(ETC)で料金所もらくらく通過】

さすがに世界的観光地五箇山I.CのETCゲートを通過する車は多いが、ノンストップだからスムーズに通過すると通行料金がモニターに表示された。「わたしたちがどこから高速道路を利用してきたかどうしてわかるの?いつお金を支払うの?」ETCゲートを初めて利用する花子さんは興味津々にゲートを振り返った。「高速道路の入口ゲートにある路側アンテナから、車載器に入口情報が送られるんだよ。そして出口では、車載器から料金所の路側アンテナに入口情報が送信され、自動的に通行料金を計算して路側アンテナから車載器に料金情報が送られるのさ。支払いは後日個人口座から引き落とされるしくみ。車に乗り込んだときに車載器に入れたICカードはクレジット会社が発行したもので、個人口座が入力されているんだよ。この花もこのICカードで買うことができたんだよ。昔は観光地の料金所などでは必ず渋滞してイライラしたのに便利になったもんさ。五箇山でもこのとおりすんなりだからね。」カーナビの音声誘導に従い駐車場に車を止め、ゆっくり合掌集落を見学して五箇山豆腐を味わった花子さんはご満悦だ。美しい風景を後にしながら花子さんは「素晴らしい文化遺産だけれど、山に囲まれた生活は不便じゃないかしら」とつぶやいた。「なぁーに、光ファイバー通信網が全家庭に届いているから、買い物もインターネットで注文して届けられるし、医療機関にも直結していて健康状態もチェックできるから安心して暮らせるんだよ」

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【フォーラムで「みちづくり」考える】


最後に平成十四年二月十六日に寺井町 祉会館において「久谷のみちフォーラム」が開かれ、前川秀和氏(国土交通省道路局経済調査室長)の「道路と地域づくり」と題する基調講演の後、パネルディスカッションが行われ、実施された社会実験を検証し、住民ら約三百人が今後の「みちづくり」を考えました。





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